大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和46(さ)1 判決

主 文

本件について神戸地方裁判所が一人の裁判官で審理判決した訴訟手続を

破棄する。

理 由

本件非常上告申立の理由は、末尾添付書面記載のとおりである。

よつて記録を調査するに、神戸地方裁判所は、昭和四五年六月九日Aおよび共犯

者たるBの両名に対する「被告人両名は共謀のうえ、法定の除外事由がないのに、

営利の目的をもつて、昭和四四年九月三日午後三時三〇分ごろ、神戸市a区b町c

番d号喫茶店『C』前路上において、麻薬である塩酸ジアセチルモルヒネ四・六一

六六グラムを所持していたものである。」との公訴事実とおりの事実を認定し、各

麻薬取締法一二条一項、六四条の二の一項、二項前段、刑法六〇条、被告人許の再

犯加重につき刑法五六条一項、五七条、同被告人の未決勾留日数の本刑算入につき

刑法二一条、没収につき各麻薬取締法六八条、被告人許の訴訟費用の負担につき刑

訴法一八一条一項本文を適用し「被告人Aを懲役三年に、被告人Bを懲役一年六月

にそれぞれ処する。被告人Aの未決勾留日数中、一八〇日をその本刑に算入する。

押収にかかる塩酸ジアセチルモルヒネ三袋(昭和四四年押第四〇五号)を被告人両

名より没収する。訴訟費用は被告人Aの負担とする。」との判決を言い渡し、この

判決が、Aについて上訴申立期間の経過により同年六月二四日確定するに至つたこ

とおよび本件については終始一人の裁判官によつて審理および裁判がなされたこと

は、明らかである。

しかしながら、本件公訴事実および原判決が認定した罪となるべき事実は、麻薬

取締法六四条の二の一項、二項に該当し、「一年以上の有期懲役に処し、又は情状

により一年以上の有期懲役及び三百万円以下の罰金に処す」べき事案であるから、

裁判所法二六条二項二号、三項により合議体によつて審理および裁判をすべきもの

- 1 -

であり、一人の裁判官により審理および裁判をした訴訟手続が、法令に違反したも

のであることは、明らかである。

よつて、本件非常上告は理由があるから、刑訴法四五八条二号に従い、神戸地方

裁判所がした前示訴訟手続を破棄すべきものとし、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり判決する。

検察官木村喜和 公判出席

昭和四六年三月二三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 関 根 小 郷

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!